血圧が高めといわれたら
健康診断などで血圧の項目に“要観察”や”要治療“などと記されたことはありませんか?
高め、といわれても自覚症状がほとんどないため放置してしまいやすいようです。
日本では高血圧症は4300万人いると推定され、そのうち血圧をコントロールできている人は1200万人しかいないといわれています。血圧をコントロールできないと、その先に待っているのは生活習慣病などの怖い病気です。
高血圧状態は、下記のような原因が複数重なって起こることが大変多いです。どれかひとつだけ気を付けるのでは、対策としては不十分です。生活習慣全般に気を配る必要があります。
血圧が上がってしまう主な原因
過剰な塩分
血圧が高くなる原因としてよく聞くのは「塩分の摂りすぎ」ではないでしょうか?ではなぜ、塩分を摂りすぎると血圧が高くなるのでしょうか?
- 塩分の高いものを摂取する
- 水分をたくさん摂る
- 血液の全体量が増える
- たくさんの血液が血管に強い圧力をかけて流れる
その結果、血圧が高くなるのです。
②の「水分をたくさん摂る」の理由は、“体が塩分濃度を一定に保つために水分をため込もうとするからで、これを我慢するのは大変難しいです。
肥満
肥満→溜まった脂肪細胞から様々な物質が分泌されると、自律神経やホルモンの働きを乱し、血管が必要以上に収縮したり、塩分が溜まりすぎたりするため血圧が上がってしまいます。
睡眠不足
睡眠には副交感神経の働きを優位にし、心を落ち着かせ、それが血圧を正常に保つ働きをしています。夜に眠らないと、交感神経が高ぶったままになってしまい、結果血圧が下がらず高血圧の原因となってしまいます。
加齢・ストレス・喫煙・過度な飲酒
加齢とともに血管が硬くなると、血圧が上がりやすくなります。古くなって柔軟性を失ったホースをイメージしていただければ良いかと思います。
その他、交感神経を高ぶらせるストレス、血管を余計に収縮させる喫煙、交感神経や体重増加に関係する過度な飲酒など、高血圧には様々な原因があります。
怖い高血圧ですが、上にあげた生活習慣に気を付けて生活することで確実にリスクを減らすことができます。
ここからは、更に理解を深めていただくため血圧についての知識を簡単にまとめてあります。ぜひご一読ください。
血圧について理解を深めよう
血圧とは
血液ポンプである心臓から出た血液が、血管内を流れているときに、血管壁に加える圧力のことです。
血圧は、心臓が血液を押し出す力→心拍出量と、血液の流れにくさ→血管の抵抗(抹消血管抵抗)で決まります。ホースから出てくる水を思い出していただくと分かりやすいと思います。
※ここであげた例は、一般的な例となります。別に医師の指示がある場合は、必ずそちらを守るようにしてください。
高血圧とは具体的に
血圧は高すぎても低すぎても不具合が生じます。正常な血圧の上限は、120/80mmHgとされています。
分類 | 診察室血圧 | 家庭血圧 |
正常血圧 | 120/80 | 115/75 |
正常高値血圧 | 120~129/80 | 115~124/75 |
高値血圧 | 130~139/80~89 | 125~134/75~84 |
Ⅰ度高血圧 | 140~159/90~99 | 135~144/85~89 |
Ⅱ度高血圧 | 160~179/100~109 | 145~159/90~99 |
Ⅲ度高血圧 | 180/110 以上 | 160/100 以上 |
細かく分かれていますが、各ステージによって治療の内容が異なってきます。まず生活習慣の改善から始まるでしょう。改善が見られなければ投薬治療へと進んでいきます。
血圧の「上」と「下」とは
上…収縮期血圧といいます。心臓が縮んで血液を送り出し、圧が最も高くなった瞬間の値です。
下…拡張期血圧といいます。心臓が血液を送り出した後、心臓が広がり圧が最も低くなった瞬間の値です
120/80mmHgでしたら、120が収縮期血圧、80が拡張期血圧となります。
mmHgとは、水銀柱ミリメートルやミリエイチジーと読み、昔の水銀圧力計における圧力の単位です。
診察室血圧と家庭血圧
診察室血圧は病院で計った値、家庭血圧は自宅で計った値です。一般的には、病院で計ったほうが高くなる(不慣れな環境や白衣のプレッシャー)傾向があります。これを「白衣高血圧」といいます。
しかし、病院では正常値でも家庭で計測すると高値を示す場合もあります。これを「仮面高血圧」といいます。仮面高血圧には、特定の条件下で血圧が上昇するという特徴があります。
その原因として、臓器障害やストレス、肥満や糖尿病などの因子が関係していることが多いといわれ、注意を要する状態です。仮面高血圧の状態のほうが深刻度は高いです。
血圧の計り方
家庭で計測するときは朝、晩の2回計測しましょう。
- 朝は、起床・排尿後、座った姿勢で1~2分間安静にした後、晩は就寝前、同じく座った姿勢で1~2分間安静にした後計測します。
- 心臓の高さに近い上腕部にカフを巻きます。
- 2~3回計測しましょう。
その日の体調などで多少データは変動しますが、毎日決まったタイミングで計測すると、数値に傾向が出てくるでしょう。そのデータを最初の表に照らし合わせた時、高値血圧以上に当てはまる方は、早めの受診が必要になります。
おわりに
気が滅入るような話を続けてまいりましたが、ご自分の体を労わって生活をすることが、結果的に怖い生活習慣病から身を守ることになります。
後悔先に立たずという諺がありますが、生活習慣病も同じで、罹患してしまってからでは後戻りできません。
「今、血圧が高めだって言われているんだよなぁ…」という方は、生活習慣病のメカニズムからもわかる通り、例えば糖尿病などほかの病気も誘発しやすい状態で推移していることになります。
いつまでも元気で輝くために、たった今から生活習慣を改善しましょう。
精密機械加工などを仕事としていたが一念発起し福祉マンに。20年務め、大病を機にライターにジョブチェンジ。趣味はカメラ。機械モノ、福祉や健康についての記事を得意としています。